コードシンボルが決めないこと
ここまで来れば、C、Cm、Cdim、Caug を読んで、それぞれがどの3音を求めているかを言えるはずです。コードシンボルが決めているのは、実はそれだけです。そして「どの音か」と「どう聞こえるか」のあいだの隔たりは、最初に思うよりずっと大きいのです。あるコードを「まさにその響き」にしている判断のほとんどは、譜面のシンボルによって未決定のまま残されています。
これは記譜法の欠陥ではありません。それこそが記譜法の目的であり、どこまでが指定されているのかを知っていることが、譜面に「書いていないこと」を期待せずに読める力になります。
シンボルが決めていること
4つあります。足りないものを並べる前に、はっきり述べておく価値があります。
- ルート(根音)。
Cはドの上に、E♭mはミ♭の上に組み立てられます。 - クオリティ(性質) — そのルート(根音)の上にどの音程が積まれるか。このモジュールでずっと組み立ててきたレシピ、つまりメジャー(長)、マイナー(短)、ディミニッシュ、オーギュメントのことです。
- 三和音を超える音、シンボルがそれを示している場合。
C7の7、C9の9がそれです。 - ベース音、ただしスラッシュで明示されている場合に限ります。
C/Eは、下にミを置いたドのメジャー(長)コードを求めています。
このリストにあるものはすべて、どの音高がそのコードに属するかについての事実です。音そのものについての事実は、ひとつもありません。
シンボルがまったく決めていないこと
音域。 C は、そのコードが高い位置にあるのか低い位置にあるのかを何も言いません。同じシンボルが、ピアノの最低音域でのうなり声にもなれば、3オクターブ上のチャイムのような響きにもなり、そのどちらも正しい読み方です。
音の配置(スペーシング)。 3つの音は1オクターブの中に収まることもできれば、2オクターブにまたがって広く間隔をあけることもできます。密な配置は厚く溶け合った響きになり、開いた配置は風通しがよく、それぞれの音が個別に聞き取れます。シンボルはどちらかを選びません。
重ねかた(ダブリング)。 三和音は3音ですが、ギタリストが6弦をかき鳴らせば鳴っているのは6音です。3音のうちどれが重複され、どのオクターブで重ねられるかによって、コードの重心はかなり変わります。ルート(根音)を重ねれば堅固に、第3音を重ねれば、置かれる位置しだいで甘くも分厚くもなります。これもシンボルは選びません。
何を省くか。 4音のコードでは、演奏者は日常的に音を1つ落とします。ギターの C7 は第5音なしで弾かれることがよくあります。第5音はコードの性格にいちばん寄与しない音であり、手の指の数にも限りがあるからです。それでもそのコードは C7 のままです。
実際のベース音。 スラッシュなしで書かれたシンボルは、ルート(根音)が最低音にあることを約束しているわけではありません。ただ「そうでないとは言わない」だけです。アンサンブルでは、ベース奏者がそれを決めます。C と書かれた小節でベースがミを弾いていれば、それは譜面のどのシンボルにも書かれていない第1転回形です。この考え方に馴染みがなければ、転回形のレッスンがその形の出どころです。
リズムと長さ。 譜面は小節の上にシンボルを示すだけです。それが伸ばした1つの響きなのか、4回の鋭い刻みなのか、小節いっぱいに広がるアルペジオなのかは、シンボルのどこにも書かれていません。
なぜそこで止まるのか
コードシンボルは、そうした判断をこれから下す人に向けて書かれているからです。それはハーモニーにつけられた名前であり、演奏者に宛てたものであって、聴き手に宛てた音の描写ではありません。五線譜による完全な記譜は、シンボルが省いたことをすべて言い切ります。それがトレードオフです。シンボルが読むのも書くのも速いのは、まさにヴォイシングについて沈黙しているからであり、五線譜が正確なのは、沈黙していないからです。
だからこそ、同じ譜面から生まれた2つの録音がまるで別の音楽になっていても、どちらも間違いではないのです。そして「書かれたとおりに弾く」という言葉が、ジャズの譜面とピアノ譜とでまったく違う意味を持つのも、そのためです。
さらに、これよりもっと少ないことしか言わない段階があります。音階の和音で出てきたローマ数字 — I、ii、iii、IV、V、vi、vii° — は、ルート(根音)すら決めていません。調を決めていないからです。V は役割を表す記号です。今いる調がどれであれ、その主音の5度上にあるコード、という意味です。この階段を一段のぼるたびに、意図的に細部が捨てられ、捨てたぶんだけ一般性が得られます。
これをどう使うか
聞こえたコードに名前をつけるとき、あなたが名づけているのはその正体であって、その編曲ではありません。だから、たどり着いたシンボルが、あなたの気づいたすべてを説明してくれるとは思わないでください。もともとそれは無理な話なのです。
そして読むときには、仕事の半分は譜面の上にはないことを覚えておいてください。音域、配置、重ねかた、何を省くか、時間のなかでどう置くか — それらはあなたの判断です。シンボルはどの音が許されているかを教えてくれますが、それをどう料理するかは教えてくれません。