五線を読む — 線、間、そして音部記号
楽譜は、記号をひとつずつ暗記するもののように見えます。でも実際は違います。楽譜は音の高さをグリッド上に描いた「図」であり、その内容のほとんどは、いちばん左端にあるたったひとつの基準点から導き出せます。
5本の線、4つの間
五線は5本の平行な線と、その間にある4つの空間(間)でできていて、線も間もまったく同じ資格を持ちます。音符は線の上に中心を合わせて置かれるか、間の中に置かれるかのどちらかです。つまり、いちばん下の線からいちばん上の線まで、9つの位置があることになります。これははしごのようなもので、ある線とそのすぐ上の間は隣り合った段、1つ分の距離です。
縦の位置が意味するのはただ一つ、紙の上で高いほど、音も高いということだけです。音名は7つで一巡し、1つの段に1つの音名が対応するので、8つ分上がると同じ音名がオクターブ上で戻ってきます。したがって五線の高さは、どちらの音部記号でも、ちょうどオクターブを少し超える程度です。
音部記号が実際にしていること
音部記号は飾りではありません。その仕事はただ一つ、ある1本の線を、ある1つの音高に固定することです。それだけで十分なのです。なぜなら9つの位置は固定されたはしごだからです。1つの段に名前が付けば、残りは自動的に決まります。上へは音名の循環をたどって上がり、下へは同じように下がっていくだけです。
ト音記号は下から2本目の線を、中央ドから音名を5つ数え上がった音に固定します。ヘ音記号は下から4本目の線を、中央ドから5つ数え下がった音に固定します。それぞれの記号は、自分が指し示す線を指すように書かれています。音部記号を変えても紙の上では何も動きませんが、すべての音符の高さが変わります。たった1つの記号が、それだけの仕事をしているのです。
なぜ音部記号が2種類あるのか
9つの位置ではオクターブをわずかに超える範囲しかカバーできません。しかしピアノは7オクターブ以上あります。基準点が1つだけだったら、低い音はすべて五線のはるか下、加線を何本も積み上げた場所に浮かぶことになり、本当に読めたものではありません。
そこで同じ5本の線に、より低い位置のもう1つの基準点を与えます。すると低い音楽が再び五線の中に収まります。2つ目の音部記号は、新しく覚え直す第2のシステムではありません。線も同じ、はしごも同じ、名前が付く段が違うだけです。
加線は五線の続き
それでも音楽は五線からはみ出します。そのときに使うのが加線です。加線は、それを必要とする音符のためだけに引かれる短い線分で、6本目、7本目、8本目の線が、何かが書かれている場所にだけ描かれます。
加線は五線そのもののリズムを保ち、本来の五線の線があるはずの位置にだけ、つまり1つおきに置かれます。だから線と間の交互のパターンは、五線の外に出ても途切れずに続きます。いちばん外側の加線のすぐ先の「間」にある音符には、自分専用の加線は付きません。その下の加線が、すでに位置を決めてくれているからです。
中央ド、2つをつなぐ蝶番
ト音記号では、中央ドはいちばん下の線から2つ分下、自分専用の加線1本の上にあります。ヘ音記号では、いちばん上の線から2つ分上、やはり加線1本の上にあります。同じ音高、指の下にある同じ鍵盤が、2か所に描かれているのです。
ピアノ譜のように五線を重ねてみてください。下にヘ音記号、上にト音記号。間隔はぴったり均等です。ヘ音記号の五線のいちばん上の線、次に中央ド、次にト音記号の五線のいちばん下の線。どれも2つ分ずつ離れています。中央ドはその隙間のちょうど真ん中に落ち、両方に属し、どちらにも属していません。ここが、2つの音部記号を1本の切れ目のない音高のはしごに縫い合わせる継ぎ目なのです。
読むとは「認識」であって「数えること」ではない
知っている線から1段ずつ上がっていけば、音符はいつでも割り出せます。最初はそうするでしょう。しかしそれは読んでいることにはならず、実際の音楽では通用しません。実際の演奏では、1つの音符が目の前にあるのはほんの一瞬です。しかも数え上げがいちばん遅くなるのは、いちばん余裕のない場面、つまり出発点の線からいちばん遠い音符のところなのです。
抜け出す方法は、計算ではなく基準点を持つことです。その音部記号自身の線、五線の外側の線、そして中央ド。この3つを瞬時に認識できるようにし、あとはすでに知っているものからの1歩の距離として読むのです。
よくある間違い
- 音部記号を背景の飾りだと思う。 線に意味を与えているのは音部記号だけです。違う音部記号で読めば、すべての音符が間違いになります。
- 毎回いちばん下の線から数え上げる。 数日ならそれでいいのですが、その先は行き止まりです。
- 書き方が2つあるから音も2つだと思い込む。 2つの中央ドは、同じ1つの音高です。
さあ、やってみよう
下の五線は、いちばんやさしい設定になっています。ト音記号、調号なし、すべての音符が五線の中に収まり、加線はまったく出てきません。表示される音符はすべて、いま読んだ9つの位置のどれかです。答えではなく、習慣を練習してください。まず音部記号の基準となる線を見つけ、それからその線からの距離として音符を読みましょう。